2008 April Haute Route Story
1. Haute Route へ行こう
2. 計画を進める
3. 概要
4. 前日 4月12日
5. 初日 4月13日
6. 2日目 4月14日
7. 3日目 4月15日
8. 4日目 4月16日
9. 5日目 4月17日
10. 6日目 4月18日
11. 終わりに
12. 付録
1.Haute Routeへ行こう
今回、我々が走破した「Haute Route」は、シャモニーからツェルマットに至る約90kmの「高い道」を山スキー道具で繰り返し登り、繰り返し滑ろうというものだ。標高は2200mから3800m程度の中を行動する。時期は3月末から5月上旬の期間限定だ。標準の日数は6日間になる。氷河地帯を行動するので、見えないクレバス等の危険が有る。ガイドの案内は必需だろう。天候は厳冬期並みからいわゆる春スキーの陽気まで、日によって違うのは日本国内と同じだ。装備は防寒着を含め完全冬山装備が必携だ。シール・クトー・ハーネス・ビーコン・スコップ・ゾンデ・ピッケル・アイゼン・テルモス・ゴーグル・ヘッドランプはガイドから携行を求められる。
2.計画を進める
2000年の春、Take・Yama・Montaの3人は日本のオートルート約50kmを走破中に五色・太郎・五郎の小屋で毎晩「いつかは本物のオートルートへ行こうよ。」と語り合った。Takeは欧州在住中の2004年に単独で実現させたが、残る二人は諸般の事情で計画は延期に延期を重ねる。2007年は実現しかけたが、日本に負けず劣らずのヨーロッパの雪不足は深刻なので中止にした。しかし2007年10月、Montaから「2008年は、雪が無くても行くぞ。」宣言が出た。仲間内で遠征を宣言すると、名古屋のShowも20数年ぶりに行きたいと言う。初挑戦が二人、2回目が二人という構成となった。50代の4人ではあるが体力に不安は感じていない。 行くと決めたら行動は早い。ガイドは2004年にTakeが単独で実行した時のシャモニーのガイドカンパニーとした。
6日間の費用は€825だが、12月に予約すると早期割引10%が適用になった。費用にはガイド費、山小屋費、行動食、ゴンドラ料金等が含まれる。小屋での水・アルコール・お茶代は別途各自で清算だ。 行程は日曜日の朝出発だが、前日の土曜の夕方にミーティングが有り、注意事項伝達と装備品のチェックを受けるので、土曜日の午後にはシャモニーに到着しなければならない。帰りは天候の都合でエスケープも有り得るし、何時に何処へ降りるか判らないので、最終日の金曜日はシャモニーに宿泊を予定するのが一番無難なようだ。回送費は、ガイドカンパニーの手配の大型タクシーで一人€50だ。シャモニーへの最寄りの空港はジュネーブになる。航空券の手配は各自で都合の良い便を勝手に選ぶ事になった。便の時刻指定が出来て尚且つ安価なのは、航空会社にダイレクトに申し込むのが一番良いようだ。旅行会社では4ヶ月先の料金は確定していなかった。往きの便は3人同じ便にしたが還り便は、各自の休暇の有効利用を考慮して別便を選ぶ事にした。Montaの場合は、平常勤務後に出発する為に夜10時に近い成田出発便を選び、帰りは現地を朝出発し、成田には早朝7時前に到着する便で、帰着当日も平常勤務という強行日程の便を選んだ。
ジュネーブからシャモニーへの足は、列車・レンタカー・バスなどが考えられ、いずれもインターネットで予約が出来る。所要時間・料金を検討の結果、我々はバス便を予約する事にした。予約から5日目には切符が送られてきた。€37.2だ。ホテルは、ガイドカンパニーにほど近い瀟洒なプチホテルが予約できた。最終的には1泊€43程度の計算になった。 あとは、体力作りと体調の調整か。いや勤め人の常として、仕事を休める段取りを付けておかねばならない。10日間に及ぶ休暇を実現するには、各方面に十分な調整をしておかなければならない。自己都合での旅行キャンセルが効く保険なんてのは有るのだろうか?
3.概要
天候は、初日は快晴で上着を脱ぐ暑さ。2日目は濃霧でエスケープルートを採用し下山した。残り4日間は、晴れたり曇ったりで、気温は日本の厳冬期並みの-10~-18度を記録した。風は弱くて幸いした。雪質は2日目と最終日の麓への滑降は標高が低く、さすがにベタ雪だが、常時2200m以上の地域に滞在するのでパウダーに近い上質の雪に恵まれた。年と時期によってはザラメだったりする様で、こればかりはお天道様の機嫌による。カナダのへリスキーも同じだろう。
ヨーロッパのサマータイムは3月末に始まり、夜が明けるのはかなり遅い。山小屋を出発する6時から6時半くらいの時刻でも、まだ薄明るい程度だ。ヘッドランプが必要な暗さでは無いが、ザックの準備時にはお世話になるだろう。そのかわり夜は遅くまで明るく20時半でも未だ明るくて、食後の酔眼でふと窓の外を見ても未だ明るくて戸惑う。行動時間としては、お昼から午後3時くらいの間には山小屋に到達する。余力のある日は、オプションツアーに出掛ける。
山小屋での生活は、快適で寒さは感じない。到着後の飲み物のビールや紅茶はその都度、現金で支払う。ビールは500ccで5CHF(スイスフラン)、安いワインは18CHF程度だから高いとは思わない。食事はスープから始まり、肉料理と温野菜はスープを平らげた皿に盛る。その後に仕上げのデザートが出るコースはどの山小屋も同じだ。寝床も布団も日本の山小屋よりかなり清潔感がある。シーツは各自持参(寝袋用インナーシーツを持って行ったが暑かった)する事になっている。トイレはほとんどが、バイオトイレで小便と大便は別々にする。洗面用の水が出る小屋は1軒しかなかった。飲用の水はペットボトルで購入するが、行動用の紅茶は何故かサービスになっていた。
登りはほぼシール登行で、45度超の急斜面はツボ足で登った。クトーの使用はガイドの指示に従った方が、自己判断より的確だった。今回はあまりにも雪質が良くアイゼンのお世話になる事は無かった。滑走はあらゆる斜面が有るので、ソールは良く滑るように手入れが必要だし、エッジも良く研いでおく方が安全だろう。雪質によっては手強そうな急斜面も多い。
4人揃えばガイド1人でプライベートチームが組めるが、我々4人はインターナショナル混合チームを希望し、ガイド2名とゲスト12名のチーム構成になった。日本人以外は若いメンバーが多く、タフだった。3000mを越える標高にもかかわらず、時間当たり標高差300m登るのが当たり前のペースだ。休憩は取らない。登り下りの道具切り替えが休憩になる。滑降ペースも早い。スピードも速いし途中で止まる事が少ない。ガイドがゲストを信頼しきっているのか、時々不安になるくらいに止まらない。最終日は行程が長い事もあって、体力に合わせ途中下山組と最終ツェルマットに向う組に分けられた。ハイペースに付いて行く中でクライミングサポートは出来るだけ低く保つ方が疲れにくい事に気が付いたのは新鮮な発見だった。
道具は日本国内とかなり様相が違った。氷河地帯で行動するにはハーネスは単独行動でも必携との事。理由はクレバスへの転落等の事故からの救助に使用するとの事だ。その割りにヘルメット姿はほとんど見ない。兼用靴は国内ではほぼ2メーカーに限られるが、ここでは実に様々なメーカーの品が使用されている。スキーメーカーには特色は感じられない。幅は今時の広さだ。狭い幅やテレマーカーはあまり見ない。ボーダーもまれだ。金具はTLTが全盛でディアミールより多いと感じる。NAXOは見掛けなかった。地図とGPSは非常に役に立った。つらい工程も、今どこにいて、あとどれくらいかが良く判るし、帰国後の記録整理にも役立つので次回も絶対に外せないアイテムと思う。ガイドも常に覗いている。
言葉は、ガイドも今回のゲストもほぼ仏語・英語が出来たが、我々のガイドはほとんどフランス語で説明し英語の説明は少なかった。山小屋内での時間は英語で足りるが、斜面やコース、景色の説明にはフランス語を理解すれば満足度が上がったかも知れない。
写真:
http://www.photohighway.co.jp/AlbumPage.asp?un=20815&key=2108053&m=0
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